2011年3月30日水曜日

「顧客を犠牲」批判 米上院小委で公聴会 ゴールドマンCEOら反論

 【ワシントン=渡辺浩生】米証券取引委員会(SEC)に訴追された米金融大手ゴールドマン?サックスへの追及がエスカレートしている。米上院小委員会は、2007年の住宅バブルの崩壊を予想して顧客と反対の取引をし巨額の利益をあげていたとして、27日、ブランクフェイン最高経営責任者(CEO)ら幹部を呼んで公聴会を開催。金融危機におけるウォール街の“罪と罰”を一手に負わされそうな空気だ。

 「金融市場を爆発させ、数百万人の仕事や家を犠牲にした金融技術に同社が果たした役割を軽視している」。上院国土安全保障?政府活動委員会のレビン調査小委員長は批判した。

 同小委が内部文書を分析した結果、ゴールドマンは07年、住宅ローン関連の金融商品を顧客に売る一方、自らは住宅ローン市場の急落を見越し、大量に売り持ちして、巨額の利益を挙げたことが判明したという。

 実際、他の大手金融機関が軒並み赤字転落した中で、同社は、07年通期で過去最高益を記録。「逆張りで荒稼ぎした」との見方を当時から否定してきた。

 SECの訴追は、少数の投資家との取引をめぐる情報の隠蔽(いんぺい)が対象だが、議会は、高リスクで複雑な金融手法や投資銀行の企業風土をも「金融危機の引き金」(レビン委員長)と追及する構えだ。

 ブランクフェイン氏は公表された冒頭陳述のテキストによると、「大規模な売りは アラド rmt
仕掛けていないし、顧客の利益に反するような取引はしていない」とし、逆に07、08年を通じ住宅ローン市場の取引で12億ドルの損失を出したと反論。同社では商品取引で頭角を現し、ウォール街のCEOで最も高額報酬のひとりとされる同氏は、SECの訴追が「わたしの金融プロの人生で最悪の日」と陳述する。

 SECが問題にした金融商品の組成?販売を担当した同社トレーダーのファブリス?トゥール氏ら幹部6人も証言する。

 リーマン?ショック以降の経営難で公的資金を受けたが、真っ先に返済し、高額賞与を復活させた「ウォール街の覇者」が今、「強欲体質」の象徴として、狙い撃ちされている格好だ。

 政権幹部は、ゴールドマン追及の政治的な動機について「絶対ない」(シャピロSEC委員長)と否定するが、米紙ワシントン?ポストとABCテレビの最新の世論調査によると、ウォール街への厳格な規制に63%が支持すると答えた。

 26日の上院本会議で、共和党は、金融規制改革法案の審議開始の動議を全員反対で否決させた。しかし、法案自体の反対は「ウォール街改革への抵抗」と見なされ、秋の中間選挙でマイナスとなる可能性もある。

 一方で、米誌ニューズウィーク国際版編集長のファリード?ザカリア氏は26日付のワシントン?ポスト紙のコラムで、「ゴールドマンへの激しい怒りは、本質を見えにくく
し、公共政策をゆがめる恐れがある」と、競争力をも奪う過剰な制裁や規制が科される危険性を指摘している。

【用語解説】ゴールドマン訴追

 ゴールドマン?サックスは2007年、低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)を裏付けとした債務担保証券(CDO)を投資家に販売。CDOに組み込むローンの選定に、そのCDOの下落を予想して売りを仕掛けていた大手ヘッジファンドが関与していた事実を開示していなかったとして、証券取引委員会(SEC)が16日、ゴールドマンをニューヨーク連邦地裁に訴追した。ゴールドマン側は「プロの投資家同士の取引で、情報を開示する義務はない」と反論している。

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引用元:ル·シエル·ブルー(Le Ciel Bleu) 情報局

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